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2017

「日本スゴイ」番組の激増について 〜日本人の自己陶酔は悪なのか?!を検証する〜

CATEGORY時事
日の丸国旗


テレビ各局の「日本スゴイ」番組が度が過ぎているーー新聞社系のコラムでその手の論調が目立つ。

外国人がいかに「日本好き」かを民放各局がこぞって紹介し、書店にも「日本スゴイ」本が所狭しと並ぶ。

サンデー毎日ではこれを「戦時下の自己陶酔に似ている」と一刀両断。

「日本スゴイ」と自己陶酔するのは自信のなさの裏返しである、とした。



出典:「日本スゴイ」なんて自己陶酔する「この国」はアホの限界  サンデー毎日


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確かに、この手の批判はネットを通して散々言われてきた。

「世界!ニッポン行きたい人応援団」「和風総本家」「YOUは何しに日本へ? 」等、日本礼賛番組が多すぎる、と。


それは言うまでもなく、「国民の自信のなさの裏返し」でもある。


事実を報道してしまったら、夢も希望も持てなくなるから。

NHKスペシャルなどで未来の日本の深刻さを突きつけられたら、絶望でやっていけなくなるから。

もしくは、人材がみな海外に逃げてしまうから。



そうならないよう、国民に希望を持たせる。

日本は世界から認められた素晴らしい一流国なのだと、メディアを通して高揚させる。

さながら戦時下の日本のように。



戦時中、政府は天皇を中心にすえ、「日本民族は優秀だ!必ず戦争に勝つ!」と喧伝して国民を鼓舞した。

お国のために命を落とすことが尊いことだと吹き込まれた。

その悲惨な末路は歴史が証明している。




わたしがこの手の「日本スゴイ」系番組を観るようになったのは、自分が海外に移ってからだ。

日本を離れて客観的な視点を持つと、この手の番組はとても面白く視聴できるようになる。

皮肉ではなく、本当に新鮮な視点で番組を観ることができるようになるから不思議だ。



最近も、「世界!ニッポン行きたい人応援団」の過去動画をネットで観た。

出てきたのは「東京メトロ」好きの東欧人。


彼は、自国にいるときからずっと「東京メトロ」全制覇を夢見てきた男だ。

自国の地下鉄に乗るときは、東京メトロのマップを片手に、スマホで東京メトロの車内放送を聴きながら移動するという徹底ぶり。

そうすることで、自分があたかも東京の地下鉄に乗っていると錯覚できるのだという。



最終的には番組が彼を東京に招待し、密着取材していた。

彼は自分のお土産に PASMO(パスモ)を買っていた。



相撲でも柔道でも琴でもアニメでもなく、「東京メトロ」とは。

変わった外国人がいるもんだなぁ、と感心しながら観たものだ。



とはいえ、確かに東欧あたりではまだスイカもパスモもないし、地下鉄路線もそこまで発達していない。

そういう国から見たら、「日本はハイテクだしすごい!」となってしまうのも頷ける。



かくいうわたしも、たまに日本へ帰ることが最大の楽しみになっている。

他の国へ旅行したいという気分にはとんとなれない。


ホームシックとは違う。

なぜなら、今いる国での日常に満足しているからだ。



それとは違うところで、「帰りたい」という気にさせるのが日本なのだ。

日本、特に東京は何でもある。

本当に飽きない。


だからこそ、あの手の番組を「あたかも外国人視点で」楽しむことができる。

日本に帰った時のあのワクワク感を思い出してウキウキするのだ。



離れてみるとわかる、久々に帰ってくるとわかる、「日本のすごさ」が。

仕事は早い、接客も一流、モノも壊れない、トイレも綺麗、レストランで腐った野菜を出されることもない、生卵も食べられる、そしてすべてがスムーズに行く。



そんな当たり前のことが、他国では「当たり前じゃない」。

情勢のひどい他国から移民してきた人間は、自国に郷愁を覚えることすらない。


彼らは文字通り国を「捨て」、新たな国で生活を始める。

そこには迷いもためらいもない。

彼らには母国への郷愁すらない。




でも、ほとんどの海外在住日本人はそうじゃない。

若いときは日本という国に反発し、または他国への憧れからその国に根を張ろうとするが、年とともに日本の良さに気づくケースが多い(特に欧米住みの日本人にこの手のケースが多い)。


昔は憧れていた外国も、ふと気づくとそれほど魅力的には映らなくなっている。

年々和食が恋しくなり、アジア人差別と年中対峙するのがきつくなり、体をその国の気候に適応させることがよりシビアになっていく。

皆、一様に「帰りたい」と言う。


でも、その国で家族を作り、家を買ってしまった以上、彼らはもう日本には帰れない。

そのような人間をわたしは多く知っている。



ほとんどの日本人は、どれだけ長く海外暮らしをしようが、最後の最後まで自国を捨てることができない。

20年、いや30年経っても、そこまでドライになりきれない。

なぜなら、そこが「帰るに足る素晴らしい国」だと知っているから。



わたしは現状、今の国での生活に満足している。

強がりでもなんでもなく、移住してよかったと心の底から思っている。


それどころか、日本に移民が増えることには賛成だし、リベラルじゃない鎖国主義な "反ぐろーばりずむ" にはヘドが出る。

日本人の過剰な同調圧力や、社会圧で右へ倣えするところや、世間体を気にした生き方にもうんざりする。




それでもふと、桜や紅葉の美しい映像を観ると、ときおり胸をえぐられそうになる。

郷愁で涙があふれそうになる。

それはわたしが、日本に生まれ育った日本人であり、そこがわたしの嘘偽らざる「故郷」だからだ。



日本という国は、過去の忘れられない恋人に似ている。

どんなに嫌な面があっても、どんなにうんざりしても、最後の最後で思い出すのはその人の顔。


何があっても最終的には見捨てることができない、むしろ「帰りたい」とさえ思ってしまう。

日本はそんな国だと思う。



日本国内における「日本を過剰礼賛する潮流」と、わたしのような「母国への郷愁」は、また別物かもしれない。

それでも、日本という国が海外在住者にある種の郷愁を起こさせ、ドライに切って捨てられないほどの魅力ある国であるかぎり、それはわたしにとってはいつまで経っても「日本スゴイ」なのだ。




日本の良さは、やはり日本国内にいるとわからないものなのかもしれない。

「日本スゴイ番組ウゼーーー!!!」とか言えちゃう国って、実は、相当恵まれてるんですよ。


だって、本当に自国を「ウゼー」と思っているなら、国民はとっくに黙って国を出ているはずだから。

どれほど未来がなくとも、どれほど将来有望でなくとも、留まらせるに足る魅力が、日本にはあるってことです。





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