05
2017

攻殻機動隊とゴースト・イン・ザ・シェルの話

CATEGORYエンタメ
電脳世界


え?今さら?という感じなのですが、今回は『攻殻機動隊』の話。

わたし自身、特別SF畑の人間というわけではなく、しかも『攻殻機動隊』という名前がバリバリのハードSFを想起させ、どこか敬遠している部分があった。

理由はそれだけではない。


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押井守の功罪?



功罪というと失礼だが、攻殻の劇場版を押井守氏が手がけたこと自体は知っており、だからこそ敬遠している節があった。


押井守といえば、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』。

この作品の評価が内外問わず非常に高く、後の作品に多大な影響を与えたことを承知の上であえて言うが、これ、おもしろい?



挫折しては何度も繰り返し視聴し、最終的に断念している身としては、「押井守とは相性が合わないのね」という結論に達するほかなく、以降、押井守作品に触れることは一切なかった。

原作者の高橋留美子がこの『 ビューティフル・ドリーマー』を観て激怒したという情報も、私から押井守を遠ざける要因の一つとなっていた。


そのような経緯から、『攻殻機動隊』もなんとなく遠ざけていた。



理由はそれだけではない。

世間の、「押井守のような難解作品を理解するすごい自分」的な風潮もなんとなく嫌だった。

それがかつての自分とダブるからだ。



大学時代の私は、それこそ今でいう「意識高い系」を自負していた。

読む小説は純文学か哲学書、聴く音楽はジャズかクラシック、観る映画はヨーロッパ映画か古典名作。学生なのに新聞も欠かさず2紙取っていた。


当時、自分の周りにいたのもそのような人種ばかりだったので、バラエティ番組やハリウッド映画を観ようものなら鼻で笑われたものだった。

J-POPなど聴こうものなら「人間のクズ」扱いされかねなかった。



フェリーニもゴダールも黒澤も小津安二郎も、大抵観た。

柄谷行人や蓮實重彦という単語もよく飛び交っていた。

漫画は「手塚治虫」なら合格圏と言われていた。


当時は、大学にも行かずに1日中映画を見るか、油絵を描くか、小説を読むか、同時並行でジャズやクラシックを聴くか、そのようなことばかりやっていた。



カフェで友人と「ヌーヴェルヴァーグってさ――」なんて会話をしては、隣の女子高生に白い目を向けられていた。

当時は、今思えば、そんな自分に酔っている節があった。



では、そのような難解作品を純粋に楽しんでいたかというと、そんなことはない。

今だからぶっちゃけるが、当時はだいぶ無理していた。


なぜなら、それらはすべて「教養を身につけるため」の一過程にすぎなかったから。

「教養」なのだから楽しいはずがない。



その後、社会に溶け込むために少しずつ世間で流行っているもの――バラエティやハリウッド映画など――を観始めた時、そのおもしろさに愕然とした。

「世間の人たちはこんなにおもしろいものを日々観ていたのか!」という軽いショックとめまい。



なので、たとえば、「エヴァ『破』より『Q』がいい」というような人種とは友達になれそうもない(笑)

昔の無理していた頃の自分を思い出すからだ。

「もっと素直になろうよ」と思ってしまう。



長くなったが、上記のような理由で、わたしは「押井守」と名のつくものを徹底排除していた。

押井守作品は、アニメ界における「教養を身につけるためのテキスト」の一つだった、少なくとも私にとっては。





攻殻との出会いは音楽から



『攻殻機動隊』そのものには接していなかったものの、サントラだけは聴いていた。

"i do" のメランコリックな音楽はいつ聴いてもうっとりする。


もともとわたしは作曲家・菅野よう子さんが好きで、特に『時の記憶』は今でもヘビロテするくらい好きだ。

(『時の記憶』は『ぼくの地球を守って』のエンディング曲。ちなみに菅野よう子さんの元夫は、『世界の車窓から』でおなじみの溝口肇さんです)



で、その流れで自然と攻殻の曲も聴くようになった。

作曲者が同じなのだから親和性は高いはずである。


とはいえ、作品そのものに対してはまだ「ゴリゴリのハードSF」とのイメージを持っていた。



そのうちに、『攻殻機動隊』ハリウッド実写化、とのニュースが飛び込んでくる。

タイトルは『ゴースト・イン・ザ・シェル』

主役はスカーレット・ヨハンソン、北野武も出演するという。



ネットのあちこちで「コーカク、コーカク」と言われ始めるようになった。

調べてみると、「アニメ版から観るのがわかりやすくておすすめ」とのこと。


軽い気持ちで、アニメ版第1話(Stand Alone Complex)をネット動画で視聴。

このまま行けばアニメ劇場版もすぐそこだ。

そのとき初めて、わたしは押井守の殻を破ることとなる(んな大げさな)。






アニメ攻殻機動隊の感想



まだ全部観ていない「にわか」なのでさらっとした感想になるが、思ったよりも、いい。

小難しい概念をこねくり回したSFというよりも、スタイリッシュSFといった感があり、ストーリーも古さを感じさせない。

絵も綺麗だし、ロボットたちの滑らかな動きにも疾走感がある(日本が舞台なのもちょっと嬉しい)。



パソコンでやるようなコネクティングを人間の脳に直接つないで行ってしまう(電脳化)、そして人間の体をサイボーグに作り変えて能力の精度を高める(義体化)。

人間に直接何かを仕込んでパワーアップする(が、ヒトの原型をとどめている)という点では、『テラフォーマーズ』も同種の系統だ。


たとえば、『進撃の巨人』や『亜人』のように、ヒトを介してまったく別の何かが生まれるというわけではない。

義体化しても、あくまでヒトの原型を保っているのがミソだ。



アニメ版で1話のロボット芸者を見た瞬間、「あ〜、確かにこれハリウッド好きそうだわ」と思いました。

テクノロジーとアジアンテイストの融合、好きですよね、ハリウッド。

SFとCG実写は相性がいいので、ハリウッド版も期待値は高いです。



ハリウッド版は2017年春に公開予定とのこと。

主人公の草薙素子も、東京の街並みも、ハリウッドが実写化しやすいテイスト満載である。

北野武の荒巻だけは「なんか違う」感があるのだけど、それはまぁ置いておくとして。



このような形で日本のアニメや漫画が世界に広がるのは喜ばしいことではないか。

……今回は、こんな感じの締めで許してね。





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