02
2016

学歴難民・高学歴ワーキングプアがはびこるニッポンの異常

CATEGORY生活
図書


高学歴になればなるほど、就職できないという皮肉な現実――。

今の日本は、修士や博士になっても希望の職に就けない 高学歴ワーキングプア で溢れているという。

博士課程修了者の就職率は10年前と変わらず、2人に1人は安定した職に就けていないそうだ。


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高学歴ワーキングプアの実態



下の表を見てもらうとわかる通り、学部卒業者の就職率が 約7割 なのに対し、博士課程修了者の就職率はたったの 5割 だ。


学歴1

出典: 日本で学歴は意味を持つか



これ、ちょっと 異常すぎないか?

学歴難民にもほどがある。


下の表のように、これだけ院卒が増えれば学歴インフレも起ころうというもの。



学歴2

出典: 日本で学歴は意味を持つか




ワープアになる3つの理由



なぜ日本はここまで院卒者の就職率が低いのか。

自分なりに考えてみた。


① 日本の新卒主義

② 理系人材の少なさ

③ 院に行く人間は働くのが嫌い




まず①。

言うまでもなく、日本企業は学部出の新卒者を率先して採用する。

年齢が大きな意味を持つ日本にあって、これは大きい。


修士・博士と5年もアカデミアにいた人間を、企業は率先して取りたくないのだ。

職歴がない割にプライドが高く、給料も学歴に応じて高くしなければならないので、企業にとって院卒者は「使いにくい」のが本音だろう。



そして②。

日本は理系人材が少ない。


海外の理系女子の多さと比べて、日本は本当にリケジョが少ない。

日本人女性が理科系の大学に留学すると、女生徒の多さに驚くそうだ。


院に行くにしても、理系のほうが奨学金も出やすいし、その後の就職率もいいのは言うまでもない。

日本はリケジョが少ないから、結果的に女性の就職率も悪くなる。

リケジョが少ないことなどが影響し、2016年の男女平等度ランキングにおいて、日本は前年の101位から111位に後退してしまっている。



とはいえ、昨今では理系でも補助金が出にくくなっているそうだ。

カナダの某大学で生物学の助教授として働くアメリカ人が、昔わたしによく愚痴っていた。

「研究費がない、補助金が出ない、メディカルばっかり優遇される」と。


彼も助教授になるまで相当お金で苦労したらしく、かなりケチ だった(そしていつも金の話ばかりしていた)。

高学歴ワーキングプアは、日本(の文系)だけに限った話ではないのだ。



とはいえ、海外では日本と比べてまだ博士課程修了者の待遇はいいように思う。

「Ph.D. 持ち」というだけでやはり一目置かれるし、言葉の壁がないので自国が駄目でも他国で教授になれる。

(前述のアメリカ人もカナダで教授になっている)


階級社会のイギリスなどは、博士課程修了者は「ドクター・○○」と呼称されて最大限の敬意を表される。

「末は博士か大臣か」とはよく言ったもので、「腐ってもドクター、腐ってもPh.D.」なのだ。




理由その③。

「院に行く人間は働くのが嫌い」、これはかなり的を射ているのではないかと思う。


博士課程まで行くということは、基本、研究が大好きな人たちだ。

研究と就職は、一般的には相容れない(理系のような研究職に就ければ話は別だけど)。


わたしの周りで院に進んだ人間の中にも、「就職が嫌だから(院に行った)」と公言する者がいるほどだ。

むしろ、「就職のために院に進む」という人は、日本ではそれほど多くない。


日本は諸外国と違い、いったん職に就いたあと院に戻って転職する、というようなフレキシビリティがない。

だから最終的には学歴難民と化してしまう。


学を積めば積むほど貧乏になるという矛盾。

もはや、博士課程はアカデミアを夢見るロマンチストのための象牙の塔でしかないのかもしれない。




ドクターに金持ちはいない?!



起業しながら院で学ぶ方法もあるように思うが、起業家はなぜか、アカデミアに興味がない。

そこには『金持ち父さん・貧乏父さん』を地で行く世界が広がっている。

(ご存じない方のために補足すると、金持ち父さん=実業家・貧乏父さん=学者という設定の実務書だ)


「いくら学を積んだところで金持ちにはなれないよ」と『金持ち父さん・貧乏父さん』では論じている。

わたしの知人にも、元実業家で、今はセミリタイアしているリッチなカナダ人がいる。


先ほどのアメリカ人助教授と違い、このカナダ人は高卒だ。

でも、彼にはお金がある。

お金はあるが、学歴コンプレックスの塊 だ(だから非常に付き合いづらい)。


いくらお金があっても、コンプレックスはそう簡単には解消されない。

あのカナダ人を見ているとそう思う。





誰かが言った。

「博士取得はロマンだ」と。



ロマンを追い求めることができるなんて、実に贅沢なことだと思う。

就職はできなくとも、学歴と名誉は残る。


名誉で食べてはいけないが、人間、生きていくにはプライドが必要だ。

世の中にはロマンチストも必要なのだ。


(就職を気にしないことが前提だが)、好きなだけ研究に打ち込めるなんてうらやましい限りだ。

勉強できる環境に身を置けることは、実は相当に贅沢なことなのだ。

若い頃はわからないが、年を重ねるにつれ、そのことに気づくようになる。



70歳で大学に入り直した欽ちゃんも、そのことをよくわかっていたのだろう、だからこそ一生懸命勉強し、大学生になったのだ。

ワープアでもなんでも、わたしは彼らがうらやましい。




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