21
2016

村上春樹は今度こそノーベル賞を獲れるのか

CATEGORY時事
書籍


今年10月に恒例のノーベル賞が発表される。そこで毎回名前が挙がるのが、作家の 村上春樹 だ。

英国のオンライン賭博サイト・ラドブロークスでは、「今年最も有力なノーベル文学賞候補」に彼を選出。

毎年のように有力候補に名前が挙がるハルキ氏だが、過去に何度も苦汁をなめている。


出典: 【ノーベル賞】 今年のノーベル文学賞は誰の手に?


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かつてバリバリのハルキストだった私からすると、春樹さんが毎年のようにノーベル賞候補に挙がるようになるとは感慨深い。

ノーベル文学賞受賞者の川端康成も大江健三郎も、私にとっては同時代じゃない。

唯一ハルキ氏だけは、新作が出たら同時並行で読んできた "同時代の" 作家だった(さすがに初期〜中期作品は後から追っかけたが)。



そのハルキ氏が日本を相手にせず(?)海外で必死に販促活動をやっていたことはエッセイ等から知っていた。

(日本では絶対にやらなかったサイン会を海外では平気で行っていたのだから、相当な偏屈者だ)

その地道な活動が、20年以上の時を経てようやく海外で実を結んだのだ。


海外で知られているもうひとりの作家に 辻 仁成 がいる。

彼はフランスの「フェミナ賞外国小説賞」を受賞しており、しかも女優の中山美穂と結婚(離婚も)していることから、春樹氏もかつて相当意識していたと思われる。

某作品の中で、遠回しに辻 仁成のことをディスっている箇所があり、「あ〜、春樹さんもやっぱり人間なんだなぁ・笑」と思ったものです。



話を戻そう。

もともと、彼のデビュー作『風の歌を聴け』がアメリカンテイストであり、これまでのじっとりした日本文学の概念をぶち壊したと言われているだけあって、春樹氏は相当なアメリカ文学通である。

日本でのフィッツジェラルド人気も、半分以上は春樹さんが広めたようなものだ。


「重い事象をライトに描写する」のが彼の作風の特徴だが、では日本文学的要素がまったくないかというと、そんなことはない。

主人公が他者を排し、内へ内へとこもる様はまさに「日本文学」そのものである。

だからこそ、アジアやヨーロッパ等、自己の内面を深く見つめるのが好きな国で彼の作品が受け入れられたとも言える。



ご多分に漏れず、春樹氏が初めてノンフィクションに挑戦したと言われる『アンダーグラウンド』あたりから、私もまたドロップアウトしてしまった。

あの他者を排した繊細な感性が好きだったし、ノンフィクションなら他の作家がいくらでも書けるだろうと思ったからだ。


『海辺のカフカ』もかろうじて目を通したが、世の中の春樹フィーバーをよそに自分の情熱は年々冷めていき、「ケッ、にわかめ」との勘違い捨て台詞を吐いて彼の本を閉じてしまった。


春樹氏が悪いんじゃない、自分が良くも悪くも大人になったのだ。

10代の頃のあの繊細な感性は、もう戻ってこない。

春樹氏の本を閉じた時点で、若者特有の「鬱屈した繊細さ」を一緒に捨てたのだ、社会に適応するために。



春樹さんはノーベル賞だけでなく、芥川賞も「獲るか獲るか」と言われて結局獲らずに来ている。

逆に言うと、「芥川賞なんか獲らなくても十分売れる」と証明してみせたのが春樹氏だ。


芥川賞は「別にほしくない」と豪語していた春樹さんも、ノーベル賞はさすがにほしいだろう。

(彼は、こういってはナンだが極度の海外びいきだからだ)


もし本当に春樹さんがノーベル文学賞を獲ってしまったら、元ハルキストとしては、好きな人が遠くに行ってしまったような複雑な気分になるんだろう。うん、きっとそうに違いない。




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